スポーツ心臓とは?アスリートの心臓が肥大する理由とトレーニングとの関係を徹底解説
スポーツ心臓とは
スポーツ心臓とは、日常的に激しい運動やトレーニングを継続している人の心臓が、一般の人と比べて機能的に優れている状態を指します。
これは、心臓も全身の筋肉と同様に、負荷がかかることで鍛えられ、より強く、大きくなる「生理的肥大」によるものです。
この肥大は、病気によって引き起こされる心臓肥大とは根本的に異なります。
病的な心臓肥大が心不全などのリスクを高めるのに対し、スポーツ心臓は健康的な適応反応であり、何の問題もありません。
むしろ、心臓が一度に送り出すことができる血液量(一回拍出量)が増加するため、全身への酸素供給が効率化され、運動能力を飛躍的に高める効果があります。
2種類のスポーツ心臓|運動の種類で心臓の形が変わる?
スポーツ心臓には、行っている運動の種類や強度によって、主に以下の2つのタイプに分けられます。
心臓のどの部分が肥大するかは、トレーニング内容によって異なるのが特徴です。
1. 動的スポーツ心臓|持久系アスリートの心臓
マラソン、水泳、自転車競技といった持久力が必要な有酸素運動を主に行っているアスリートに多く見られます。
これらの運動では、長時間にわたって筋肉に大量の酸素を供給し続ける必要があります。
なので、心臓は一度に多くの血液を溜め込み、全身に送り出すポンプとしての機能を強化します。
具体的には、心臓の内部の容積が拡大し、より多くの血液を溜められるようになります。
これが、動的スポーツ心臓の特徴です。
2. 静的スポーツ心臓|筋力系アスリートの心臓
重量挙げ、短距離走、投擲競技といった高い筋力を瞬間的に発揮する無酸素運動を主に行っているアスリートに多く見られます。
これらの運動中は、一時的に血圧が極めて高く(300mmHg近く、あるいはそれ以上)なることがあります。
この高血圧に逆らって血液を送り出すために、心臓はより強い力で収縮する必要があります。
その結果、心臓の筋肉そのものが分厚くなり、よりパワフルなポンプへと進化します。
これが、静的スポーツ心臓の特徴です。
スポーツ心臓は元に戻る?トレーニングとの密接な関係
スポーツ心臓は、筋肉と同じように、運動を継続することで維持される状態です。
トレーニングを中断すると、心臓への負荷が減るため、徐々に元のサイズや機能に戻っていきます。
この変化は、身体への順応性が高い証拠であり、健康上の問題はありません。
個人差はありますが、多くの場合、1年から3年ほどでスポーツ心臓ではなくなると言われています。
スポーツ心臓は、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮するための重要な要素の一つです。
トレーニング方法が、心臓にどのような影響を与えているかを知ることで、より効果的なトレーニング計画を立てるヒントになるかもしれません。




